とあるメーカーで電気設計エンジニアをしています(今回触れるPLC以外にも、C#、Pythonなども扱えます)。
本記事は
「ここ15年のプログラミングブームで、メーカーでもC言語やPython経験者が優遇されるようになってきたけど、PLCって時代遅れなのか?」
「AIとかデータサイエンスとかよく聞くし、色んなプログラミング言語とか出てきたけど、昔からあるPLCってオワコンなのかな??」
って声に、メーカー勤務の電気設計エンジニア目線で私見を申し上げます。
結論を言うとPLCに将来性は十分あると思っています。
(正確に言うと、不要になる未来が予測しにくいです)
PLCの将来性に関して、最近の副業ブームやプログラミングブームと絡めつつ解説していきますので、ぜひ最後までご覧になってくださいね<(_ _)>。
では、まいりましょう。
PLCは時代遅れでもオワコンでもない理由を現役エンジニアが語る
繰り返しになりますが、PLCは時代遅れでもオワコンでもないと思っています。
理由は以下の3つです。
- 会社(特にメーカー)の開発案件に貢献しやすい
- 仕事のやりがいが得やすい
- 転職に有利
ひとつずつ深めていきましょう。
会社(特にメーカー)の開発案件に貢献しやすい
メーカーは商品を製造する機械を持っています。
そして、機械を制御するのに使うのがPLCです。
例外を除き、メーカーは毎年新商品をリリースする都合上、製造機械のマイナーチェンジ(機械や電装設計の変更業務)も必ず発生します。
なので、PLCを扱える人は「仕事なくてヒマ」になるとは考えにくいです。
*当記事ではそこまで深めませんが、PLCについて詳しい内容はIOTニュース記事をご覧になってください<(_ _)>。
そして、プログラミングスキルのある人材同様、PLCを扱える人も不足しています。
なので、よほどの実力者揃いの職場でない限り、メーカーでは重用される人材です。
PLCを扱える技術は、製造機械に反映されるので、評価も受けやすく出世も十分に可能でしょう。
(現在の職場で弾かれちゃったエンジニアでも、別の会社に行ったらエース待遇ってザラにあります)
PLCを扱える以上、会社の開発案件に貢献できることは間違いないので、PLCは決して時代遅れでもオワコンでもないと思います。
時間を使って、学んでみても全然良いと思います。
👇愛読書3冊です(最近の本は簡単に書きすぎていて、古い本のほうが役立ちます)。
仕事のやりがいが得やすい
PLCを使った仕事は開発業務です。
(厳密に言うと、電装系の設計開発業務です)
0から作るのが好きな人にとっては、非常に楽しい時間になるでしょう( ´∀` )。
頑張ってPLCの業務案件をこなした結果、会社には新しい技術がもたらされ、自分にとっては楽しい時間&キャリア形成になるのでやりがいはあります。
会社員はつまらない、オワコン、やりがいなんて無い、やりがい搾取って声もありますが、正直職業と特性、賃金によるかと思います。
結局、向いている職種に就いていて特性があり、給料も納得ならば一番幸福なんでしょうね( ´∀` )。
ポジショントークですがPLCは息の長い技術である一方、ナウな感じはしませんが、やりがいは十分にありますよ( ´∀` )。
(無論、PLCや電気機器などのアップデートは毎年のようにあり、勉強する必要はあります。)
転職に有利
PLCスキルはつぶしが効きます。
現在のPLCスキルはメーカーが欲しがるスキルセットだからです。
メーカー(要するに利益が大量に出る大企業)のマシンはPLC制御が当たり前で、大企業ほどPLCを採用しているからです。
つまり、大企業に滑り込めるスキルです。
(そして、大企業すらエンジニアの数も足りていません)
PLCはメーカーの既製品ですので、特定メーカーのPLCを使う社は山ほどあります(某Oムロン、某M菱電気などのPLCが有名ですね)。
仮に、お勤めする会社が変わってもPLCを扱う技術はそのまま使えますので、PLCは転職に有利なスキルセットと言えるでしょう。
なので、PLC使って仕事できます!ってことはスキル持ち&転職キャリアアップ可能な人材ということです。
(転職サイトを拝見する限り、PLCが扱えるエンジニアは転職市場で低い給料がオファーされているケースが少ない印象があります。年収500万以上は余裕で狙えそうです。)
個人的な見解ではありますが、縦横無尽な転職を可能にするくらいの力がPLCスキルにはあると思います。
👇転職する、しないに関わらず読んでおきたいmoto氏の良書です。私は図書館でこれを読んで、電装設計業務の自己研鑽のモチベーションを上げてます。
これら3つがPLCは時代遅れでもオワコンでもない理由になります。
しかし、多くの人(特に若い人)はPLCは時代遅れと考えているようです。
私はPLCは時代遅れとは思っていませんが、よく聞くことですので、キチンと現実として認識しないといけません。
ここで、PLCがなんで時代遅れって言われるのかを電気設計エンジニア目線で考えてみました。
PLCが時代遅れと思われてしまう理由2つ
PLC業務もプログラミング業務のひとつにも関わらず、なぜ時代遅れと言われてしまうか考えてみました。
昨今のプログラミングブームのイケてるポイントと比較してみると、2点ほど気づく点がありました。
- PLC業務はプログラミング系業務なのに副業がしにくい
- PLC業務はリモートワークがしにくい
ひとつずつ深めていきましょう。
PLC業務はプログラミング系業務なのに副業がしにくい
流行りのフリーランスエンジニアとしても、副業としても世間にプログラミング業務は溢れています。
会社や個人のニーズに対してプログラミング人材が余裕で足りていないのが現状です。
つまり、フリーランスエンジニアとして案件を受注できれば、会社員とは比較にならない高い単価で業務ができます。
一方、PLC業務は会社の機械に対して行うことが大半です。
機械設計担当や製造現場の人とお話ししたり、機械や製品とにらめっこしたり、直接いじることもあるため、会社でしかできない業務が多く、個人ではこなせないです。
なので、個人がパソコン1台で完結する仕事はほぼ皆無でしょう。
少なくとも私は見たことありません。
フリーランスエンジニアとして業務を受け持つことも不可能ではないようですが、WEB系やシステム系の案件より遥かに数は少なく、WEB系エンジニアよりも会社に拘束されるのは目に見えています。
こんな感じで、PLC系の業務は会社にどっぷりな場合がほとんどで、副業案件数は少ないです。
最近、年功序列制度や終身雇用制度は維持できないだろうと予想し、副業に乗り出す会社員は増えています。
副業するために個人スキルを身に付けたい人からしたら、PLCはナウな感じじゃないでしょうね( ´∀` )。
PLC業務はリモートワークがしにくい
新型コロナウイルスの蔓延に伴い、リモートワークができる会社や職業を選ぶ人が多くなりました。
世界中がリモートで働くようにシフトしているので、リモートワーク志向は自然な流れです。
そんな中、PLC業務とリモートワークの相性は最悪です。
繰り返しになりますが、PLC業務は会社にどっぷりな業務が大半です(商品開発、生産ライン開発 問わずです)。
そのため、完全リモートワークは大変難しいでしょう。
(PLCのラダーを組む業務だけならリモートワークは可能ですが、それではただのコーダーと一緒なので派遣社員さんを雇った方が合理的ですし、リモートのコーダーが稼げる額はたかが知れています。場合によっては会社の現場にすっ飛んでいかないといけない正社員じゃ、難しい働き方です。)
こんな事情もありますので、リモートワークしかしたくない、リモートワークの可能性がある仕事がしたい人にとって、PLCって時代遅れじゃね??って感じるのは不自然ではないですね( ´∀` )。
*私はリモートワークが好きではないので問題ないです。リモートワークがしにくいって、裏を返せば「会社とズブズブな関係を築きやすい」ってことでもありますからね。クビにはなりにくいはず。
個人的に、リモートワークが多いWEB系案件はコモデティ化しやすいので好きじゃないです。コモディティ化を簡単に言うと、
- エンジニアがウェブページを作る ⇒ 素人でもウェブサイトを作れるひな形アプリが開発される
- エンジニアがスマホアプリを作る ⇒ 素人でもスマホアプリのひな形アプリが開発される
って具合に、道具に取って代わられる状態のことです。
これはエンジニアの知恵が搾取されるパターンなので、好きじゃないです。
なので、今後もPLCと仲良くし、会社と持ちつ持たれつの関係をキープしていこうと思います。
PLCは時代遅れでもオワコンでもないわけですからね( ´∀` )。
本記事は以上です。
最後にポイントをまとめます。
PLCは以下の理由で時代遅れでもオワコンではないと考えます。
- (特にメーカーだと)毎年会社の開発案件業務に関わりやすい
- 成果がわかりやすく、出世も期待でき、仕事のやりがいも得やすい
- PLCスキルはどの会社でも使えるため、転職に有利
一方、「PLCは時代遅れ」と言われてしまう理由は、以下の2つが考えられます。
- プログラミング系業務なのに副業がしにくい
PLC案件は会社の機械に対して行う仕事が多いので、副業向きではない
- リモートワークがしにくい(個人的にコモディティ化が嫌)
PLC業務は会社とどっぷりなので、出社せずに仕事をすることが難しい
今日はこの辺で。